ある夜、実直な会社員のデイビッドは、愛する妻の出産に立ち会うため、ラスベガス中心部の病院へ車を走らせていた。ところが病院の駐車場で、見覚えのない男が後部座席に乗り込んでくる。「車を出せ」。拳銃を突きつけられ、やむなく指示に従ったデイビッドは、ハイウェイを走行中にあの手この手の脱出策を試みるが、非情にして狡猾な男にことごとく阻まれてしまう。支離滅裂な言動を連発する正体不明の男は、なぜデイビッドに異常な悪意を向けるのか。やがて狂気を剥き出しにした男の暴走はエスカレートし、さらなる大惨事が勃発するのだった。
現代の映画界において、ニコラス・ケイジほど特異な個性をみなぎらせているスター俳優は、世界中のどこにもいないだろう。人間ドラマ、ラブ・ストーリー、コメディ、アクション大作などの幅広いジャンルで並外れた存在感を発揮し、近年も『ドリーム・シナリオ』『ロングレッグス』など、破格の異色作、怪作に出演してきたそのキャリアは、まさに自由奔放にして縦横無尽。 そんな新たな絶頂期のまっただ中にあるケイジがプロデューサーを兼任し、持ち前の“怪優”ぶりを全編フルスロットルで披露する最新作は、不条理なまでに予測不能のストーリー展開に引き込まれ、随所に炸裂するハードなバイオレンスに息をのまずにいられない狂気のアクション・スリラーだ。
ニコラス・ケイジ
Nicolas Cage
1964年1月7日、アメリカ生まれ。15歳で演技を始め、1982年『初体験/リッチモンド・ハイ』で映画デビュー。『ランブルフィッシュ』、『コットンクラブ』、『ペギー・スーの結婚』といったF・コッポラ監督作はじめ『バーディ』、『赤ちゃん泥棒』、『ワイルド・アット・ハート』などに出演し、高い評価を受ける。さらに『月の輝く夜に』と『ハネムーン・イン・ベガス』で2度のゴールデングローブ賞ノミネートを果たし、俳優としての評価を大きく高めた。『リービング・ラスベガス』ではアカデミー賞とゴールデングローブ賞で主演男優賞を受賞。演技派としての地位を確立。以降『コン・エアー』、『フェイス/オフ』といったアクション大作で主演を務め、世界的なスターの一人となる。出演作品は多岐にわたり、『あなたに降る夢』、『アダプテーション』、『ナショナル・トレジャー』、『キック・アス』、『スノーデン』、『PIG/ピッグ』、『マッシブ・タレント』、『ドリーム・シナリオ』、『ロングレッグス』など、これまでに100本以上の映画に出演。今後も多数の映画やTVシリーズの公開が控えており、精力的な活動を続けている。本作『シンパシー・フォー・ザ・デビル』では製作も務めた。
ジョエル・キナマン
Joel Kinnaman
1979年11月25日、スウェーデン生まれ。スウェーデン王立演劇学校在学中の 2002 年より多数の TVドラマや映画に出演。主演作『イージーマネー』での演技が国際的に高く評価され、ハリウッドに進出。TV シリーズ「THE KILLING ~闇に眠る美少女」で一躍脚光を浴び、『ドラゴン・タトゥーの女』、『デンジャラス・ラン』など数々の大作に出演する。リメイク版『ロボコップ』では主人公アレックス・マーフィ/ロボコップ役に抜擢され、初のハリウッド大作主演を飾る。その後『スーサイド・スクワッド』シリーズでさらなる知名度を獲得し、「ハウス・オブ・カード 野望の階段」や「オルタード・カーボン」などに出演。幅広いジャンルで多彩な役柄をこなす。その他の出演作に『聖杯たちの騎士』、『ラン・オールナイト』、『チャイルド 44 森に消えた子供たち』、『THE INFORMER/三秒間の死角』、ジョン・ウー監督『Silent Night(原題)』、「フォー・オール・マンカインド」など。ユヴァル・アドラー監督とは『マヤの秘密』以来 2 度目のタッグとなる。
ユヴァル・アドラー
Yuval Adler
イスラエル生まれ。コロンビア大学在学中より短編映画の制作を始める。長編監督デビュー作『ベツレヘム 哀しみの凶弾』でヴェネツィア映画祭審査員賞を受賞。同作はアカデミー賞外国語映画部門イスラエル代表に選出され、イスラエル・アカデミー賞(オフィール賞)で6部門を制覇する快挙を成し遂げるなど国内外で高く評価された。ベルリン国際映画祭でプレミア上映されたダイアン・クルーガー、マーティン・フリーマン出演『ザ・オペラティブ』、ノオミ・ラパス、ジョエル・キナマン出演『マヤの秘密』に続く本作『シンパシー・フォー・ザ・デビル』は長編第4作目となる。